男のパパ活 先輩の底力!
さすがおれの先輩。素っ裸になるところまでは実に順調だ。が、正直ここまでは地区予選みたいなもん。本ちゃんの花園はここからや。連戦の先には準決勝、決勝が待ち受けている。
先輩、いい感じすよ。さすがっす。
調子のんな。こんくらい屁でもないやろ。
ですね。一応段取り踏んどかんとあきません。急には体も動かんもんやし一発勝負なんすわ。
一発勝負?
そうっす。大きく稼げるか無理かを判定するこのテストを受けられるのは1回だけ。そういう決まりなんすわ。せやから、1回だけ、おれの口から言えるんは1回だけなんでよーく聞いてください。ええすか。
おう。言ってくれ。
おれは顔を試合前の真剣バージョンに切り替え、先輩の目をしばらく黙って見つめ、まるで愛の告白をするみたいに溜めたのち、滑舌明瞭にずっしり言った。
自分が何を命じても、オールイエスでお願いします。以上す。
おれはわざわざ「以上」と断り、これ以上何も言わない、というより言えないことを伝えた。男のパパ活で稼ぎまくるには、相応しい素質資質がどうしても必要なのだ。
わかった。こっからが本番ってことやな。ええで。なんでもいうてくれや。
先輩の顔から笑顔は消えていた。本当に試合前の顔になっていた。わかる男はいちいち細々説明しなくてもわかるってもんだ。おれも腹を括った。
じゃ、目閉じてください。
先輩は瞬で潔く目蓋を降ろした。頑張ってくれ。おれは心の中でエールを送った。
これからおれがすることは客がすることっす。先輩は金を貰う方やということを忘れんといてください。金を支払う客がすることに、金を貰う側として相応しい反応をしてください。ええすか。わからんかったら言ってください。ええすか。
ごめん、もっかい頼むわ。
わかりました!おれが今から先輩にすることは、金を払う客がすることやと思ってください。で、先輩は、金を貰う側すよ。金を貰う側として、この場に相応しい反応をしてくださいって話っす。論より証拠。行きますよ。心決めてください!
わかった!ええで。こいや!!
もちろん予告なく、おれは右手でギュッと、先輩のを握った。おれみたいなゴツい指に握られるのは先輩もきっと初めてなはずだ。しかし先輩は腰に両手を当て微動だにせず、仁王立ちスタイルで唇をギュッと結び鼻で息をしている。いいぞ。おれは右手の力を抜いたり入れたりを交互に繰り返し、心で先輩の健闘を祈った。
静かな時間がしばらく流れ、先輩の鼻息がちょっとだけ、荒くなってきたのをおれは確かに感じた。それに応えるようにおれは右手の指を複雑に動かす。
あっ、、ああ、、
ギュッと結ばれていたはずの先輩のくちびるが不意に緩み、喉元から掠れた声が漏れ出してきた。よっしゃ!さすが先輩や!!おれは敬意を表し、左手を先輩の背中に回し、右手も丁寧に、そして俄然先輩を尊敬しまくった。
先輩のでっかい背中はこれまで何度も見てきた。大学に入ったばっかりの時は、飯だの酒だのずいぶん世話になった。今度はおれが恩返しする番だ。先輩乗り越えてくれ。おれは神にも祈る気持ちで左手に力をこめ先輩を抱き寄せた。
おれの胸と裸の先輩の胸がぴったり重なり、先輩の心臓がどっくんどっくんいうのが伝わってきた。頼む!この場に相応しい反応してくれ!先輩!!
先輩の背中に回した左手にさらに力が入る。右手の中の先輩はどっくんどっくん息をしている。
はあ、はあ、、、
先輩はさっきよりも大きな吐息を零し始めていた。多分もう近そうだ。