男のパパ活 先輩の決意を試す数々のテスト
さすがおれの尊敬する先輩だけあって即行かつ時間厳守。ここまでは合格。問題はここからだ。ありがちな脳みそだったらあきらめてもらうしかない。が、おれの先輩に限ってそんなことあるわけないと嫌な予感を打ち消す。
洗足駅にも迎えに行かず、実践さながらで駅からグーグルを頼りにアジトまで来てもらった。
着いたぞ。
と先輩。
おれはアジトの隠しドアから首を出して先輩!と大声で呼んだ。
まじか!
驚く先輩。
こっから入るんすよ。
まじ?よじ登れって?
そうっす!
わかった!
そう言って先輩はサッシに手をかけ、腕と肩の力で体を持ち上げ、すんなり扉に体をくぐらせた。さすが先輩だ。よくトレーニングしている。
アジトへようこそ。
すげーな奥村。これ、アジトって。信じられんわ。
信じなくていいっす。いやでも信じることになるんで。
すげーな!しびれるわ。
先輩。ここはおれたちのアジトっす。親分がいるんすよ。
親分?やばい人?
やばいっすね、相当。
ゾクゾクする。今おる?
今日はまだいてないす。そのうち戻ってきますよ。見たらびっくりします。見ての楽しみってことで。
なんかすげーな、圧倒されてるわ。けど面白そうやな、おれこういうの好きやわ。
でしょ。と思ったんで呼んだんすよ。そうじゃなかったら最初からばっくれてます。先輩ならできると信じて呼びました。気合入れてくださいよ。
おう。で、おれはどうしたらいい?
まず、素っ裸になってください。
裸?ここで?
はい。
わかった。テストやな。目見たらわかるわ。なんでもこいやぞ。
知ってますよ。
先輩は余裕の笑顔で、鼻の穴をちょっとピクつかせながらシャツ、ズボン、パンツ、と調子良く脱ぎ捨てた。ここで躓かれるようじゃ話にならんと思っていたんで、先輩がすんなり全裸になってくれてほっとした。
男のパパ活で本気で稼ごうとする奴が、唐突に素っ裸になれと言われ、ビビってるようじゃ話にならない。これは本当だ。「なんでや」とか理由を求めたり、「はずい」とか馬鹿なことを言ってるような奴が男のパパ活で1回10万20万稼げるわけがない。この程度のハードルはトントンクリアしてくれなきゃ困るのだ。