男のパパ活 中村が釣り上げた怪物的顧客
中村はとんでもない怪物を顧客にしてしまったようだ。これはもう「お小遣い稼ぎ」という次元じゃない。体や性行為を売るといった低次元な話とも違う。中村パパは中村に自分の会社を継がせようと本気で思っているようだった。
ラグビーしか脳のないオレたちに、大学もスポーツ推薦でもなければ入れない程度の脳みそのオレたちに、何故ここまで執着できるのか。富裕層の頭の中はつくづく不可思議だと思った。
不思議っすね。金、めちゃくちゃ手にすると、使おうっていう気が失せるっていうか、特に欲しいもんなんかないんですよね。ウブロの腕時計とか欲しいと思ってたのに、いざ買えるとなると、別にいっか。になっちゃって。先輩は何に金使ってるんすか。
おれも使ってないな。高い買い物なんか全くしてない。イヤホンくらいだな。音質の良いイヤホン欲しかったから。でも3万とかだぜ。
おれたち何やってるんすかね。金が欲しくて始めたんじゃないんすか。
いや、おれは、金というより、自分にいくら「払われるか」に興味があったから始めた。金だけなら、とっくにやめてたな。
へえ、おもしろいすね。いくら払われるかを知ると満足するもんなんすか。
しねえ。
は?じゃあダメじゃないすか。満足しないなら、何のためにやってるんすか。
わからん。考えたこともない。強いて言えば必要としてくれる人がいるから、その人たちのためかな。
かっけーすね、おれもそれにしよ。
それにしよって、お前、他人の考えにぽっと乗り替えることなんてできんのかよ。
できますよ。いつだってそうしてきました。そっかそっかそう考えればいいのか、って思ったら、すかさずそっちに乗り替えます。
すげえのはお前だな。つくづくすげえと思うわ。適応力半端ねーな。アフリカでも生きていけんだろ。ソマリアでも。
行けますね。そんな気がします。おれ多分、何にも怖がってないんすよ。今まで、やばそうな連中とやばそうな雰囲気になっても、怖いと思ったことがなかったんすよ。不思議だなって思ってました。
肝座ってるもんなお前。
はい。長所ってことで収めてますけどね、考えようによっちゃやべえっすよね。凶悪犯すれすれマインドかも知んないです。
やめろ。そういう話すんな。そんなこと考える暇あるなら、役立つこと考えろ。山口先輩「海の番人」になるらしいぞ。
海の番人?ライフガードすか。
そうそう。ラグビー辞めたのはライフセービングするためだって。
ライフセービングか。ライフセービングにあんな体必要なんすかね。国際基準すか。
あの人、本来今頃はアメリカにおったらしいんよ。それがコロナで行かれへんようなって日本におるらしい。おれにとってはラッキーやけどな。
アメリカかあ。おれもいこっかな、アメリカ。なんだか面白そうじゃないすか。ニューヨークのダウンタウンとか、シカゴとかいってみたいんすよね。
フロリダとかじゃねーのか。
あ、そっちもいいっすね。ジャマイカとかサイコーじゃないすか。レゲエにラム。
テキーラじゃねえの。
自分はラムっす。最初に飲んだのがラムで、1発で気に入りました。以来ずっとラム。他いらないって感じ。