男のパパ活 西田の決意
西田は西田で堅実に稼いでいた。おれに頼ることなく、自分の力でひとりひとり客を増やした。おれが手助けしたのは瀬戸君と真奈美だけだ。そう言えば瀬戸君は今どうしてるだろう。最近メールしてない。
西田、瀬戸はどうしてる。
毎週会ってますよ。
毎週?まじで?
まじです。毎週来てくれって言われてるんで。
で?ションベンか?
違いますよ。
じゃあなんだ。何してる。
それは、その、、
西田が珍しく口籠る。おいおい西田。大丈夫か。
嘘だろ、エッチか。
エッチって、それほどじゃ、、まあ、気持ちよくしてもらってるだけっす。
気持ちよく「してもらってる」だと?
ダメっすか。だって顧客のニーズっすよ。
おれはつい、いくら貰ってる?と訊こうとしたがやめた。西田はおれの息子じゃない。過保護はダメだ。
わかった。悪かったな。いろいろ聞いて。困ったことあったら言えよ。
わかりました。先輩、おれ、先輩に感謝してますよ。ラグビーやめずにすんだ。一生の恩人す。
やめろ。おれはきっかけを作っただけだ。それにお前はおれの大事な後輩だ。相談されて放っておけるか。
でも金のことなんで、普通ならどうにもならないことじゃないすか。だけどおれ、先輩ならもしかしたらって気持ちがあったから打ち明けました。
おれがパパ活してたからって?
はい。淡い期待。そしたら先輩応えてくれて。おれ、本当にバカだったって、あの夜泣いたって話しましたよね。
おう。覚えてる。
一番大事なものを捨てようとしたおれを叱ってくれたんすよ。
もうやめろ。いいから。おれはお前の大事な後輩だからそうしただけだ。
おれ、ラグビー続けるためなら何でもします。なんでこんな簡単なこと忘れてたのか、わかんないです。一回間違えないと心に刻まれないっすね。
だろ。コロナも悪くない。
そうっすね。親父には悪いけど、おれは自立できた。おれ今なら自分のしてること堂々と親父に言えますよ。
やめとけ。今じゃない。
わかってます。だから先輩と話したいんすよ。中村呼んでくれたのも嬉しかったっす。
まじか。逆だと思った。
ひでー。おれ、そこまで心狭くないっすよ。
そか。ならよかった。
先輩はちょっと離れて見ててください。中村はおれが教えます。
お。まじか。助かる。あいつ、ちょっと血の気多いからな、ガチッと手綱握っとかんとあかんかも知れん。
やんちゃやらかしそうっすからね。1発締めときますか。
任せるわ、お前の判断で必要ならそうしろ。