男奥村の男のパパ活!

男奥村の成功のパパ活記録

男のパパ活 使いきれないくらいの金

元々物欲がなかったような気がする。おれは。中学からラグビーを始め、高校大学と続けてきて、トレーニングウエアやスパイクはそりゃ性能の良い高価なものの方が良いに決まってると知っていたけど、父親の稼ぎはそんなに良い方じゃないことくらい知っていたから無難な金額のものをボロボロになるまで使っていた。周りにもポンポン買い替えるような奴はいなかったように思う。


男のパパ活を始めてちょうど1年、思えばおれのパパ活は最初から好調だった。ひとりめの客、瀬戸君がおれに支払った金額は13万。その金額に見合う仕事をおれがしたかどうかは、おれにはわからない。


その後、数人の客と会ううち、ひょんなことから山口先輩と知り合い、そこでアクセルを踏んだみたいに稼ぐようになった。金持ちから金を「貰う」という感じから「稼ぐ」という感じへシフトした。お情けで高い金額を支払って「貰っている」という感じじゃなくて、おれはおれにしかない価値で「稼いでいる」という感じにシフトしたのだ。


山口先輩の登場がおれにもたらした変化のいちばんは、資本主義ってものをよく知ることだった。山口先輩は中学の頃からその手の本を漫画本がわりに繰り返し読み、大学生になるや、蓄積した知識を元手に一気に稼ぎ始めた。資本主義で稼ぐには資本主義のルールを熟知しなければ稼げない。ラグビーも同じだ。きっとどの世界でもこの件は同じルールだろう。


あれからたった1年で、おれは父親の年収を1ヶ月で稼ぐようになった。そのことをおれは父親に隠さず話した。おれが何をして稼いでいるかを具体的に知っても父親のおれに対する態度は何も変わらない。


銀行口座には使い切れない金額が入っている。


それでもおれは使い続けているスパイクやトレーニングウエアを使っている。ボロボロになったら、次は高いのを買おうと思っているくらいだ。


そんなことより、男のパパ活はおれに色んなことを気づかせた。そのひとつが、おれにとって仕事とは何かがはっきりしたことだ。


おれはおれにしかない能力やスキルを使い、たくさんじゃなくていいから、とにかく誰かの役に立つ。そういう気持ちで「何でもする」と宣言し続け、宣言した以上必ずやり遂げる。やり遂げられるように日々自分を鍛える。そういうことを全部ひっくるめたのがおれの仕事だ。他人は関係ない。