男のパパ活 何故ラグビーを続けることができたんか
正直、ようわからんのよ。たまたまサッカーやなくてラグビースクールに入ったから。あとは意地で続けていくうち、だんだん面白くなって、それに伴い「上手い」と言われるようになったからや。何でもそうやけど「上手い」と言われたら気持ちええやろ。
他に何も誉められることなかったからな。おれは。体がでかいんの、誉められるようになったのもラグビーしよるからや。そうでなかったらただのデブやろ。105キロとか110キロとかな。
中学でソコソコ上手いと、もう高校は「ラグビーで」となり、あとは花園、そして優勝を狙うという生活な。ようわからんうちに、ドドドドド!って感じで時間はすぎた。
で、大学よ。
中3くらいから高校卒業までは、ほんまに、ドドドド!やったわ。1日1日やるだけ。楽しかったけどな。練習でも、ええ感じに「やれた!」と思える日が必ずあって、その感じを1日1日と増やしてく、そんな感じやね。
小学校の時、たまたま入ったスクールがラグビーやったから今もラグビー続けてる。おれの理由はそれしかない。
男のパパ活 ラグビーだけは頑張れた理由
そういえば、おれは小学校4年でラグビースクールに入ったが、喧嘩ばっかりしていてコーチや監督、自分の親を含めた父兄の皆さんに多大な迷惑をかけまくるくせにけろっとしているような問題児だった。
違う小学校から来ているヤツが、おれのことをウザがって、「あんなヤツどうせやめさせられるから」とひそひそやってるのを聞いた時、普段なら飛びかかってボコボコにするのに、何故かその時に限って、聞こえていないフリをした。
あの時、明らかに潮目が変わった。
おれは暴れなくなった。やめさせられてたまるかと思うようになり、あいつらの思う壺にだけは絶対ならねえ!と心に決めた。
どうせ奥村は、、、。
この手の物言いにおれが敏感になった最初の出来事がそれだった。その後も同じようなことはうんざりするほどあったけれど、ラグビー絡みの場所や人を相手に暴れたりぶっ飛ばしたりするのは絶対しなかった。
それをやるのは、自分で墓穴を掘るのと同じだとわかっていたから。
父ちゃんは酒飲みで女癖が悪く、しょっちゅうおかんと喧嘩していた。幸い3兄弟の真ん中だったおれは、兄貴がいてくれたおかげで何かと得をした。ちょっと離れたところに住んでる爺ちゃんのところに避難したり、スクール仲間ん宅に泊めてもらったりしながら、難を逃れ続けてきた。
中学に入る頃にはこれも幸い、体のデカさと性格の荒さが効いてきて、チームメイトだけじゃなく父系連中からも「奥村は凄い」と言ってもらえるようになっていた。おれは子供心に、こんなおれでも凄いと言ってもらえるたったひとつのものに必死にしがみついた。
尊敬する先輩に、誰よりも練習しろと言われ、それだけは素直に聞き入れ練習した。誰よりも練習しないと、凄いと言ってもらえなくなるかもしれないと、怯えていたのだ。
男のパパ活 ノンケのオレが男といろいろできる理由
女と違って男が「パパ活」するということは、そのパパは「男が好きな男」つまり「ゲイ」「ホモ」の人たちとほぼ決まっている。稀にそうでない人もいるが。
「男のパパ活」顧客第1号の瀬戸君は、超イケメンで資産家の息子で大学も慶応。他人から見れば何不自由ない生活をしているはずの野郎だ。
でもそれは違うと奴は言った。
他人には僕の苦しみなんか絶対にわからない。
透き通るくらい綺麗な肌の顔に2つついてる完璧な二重の目を潤ませ、無表情に言い放った横顔をおれは忘れない。おれの目の前、鼻先で。そういうことを言った奴がひとりもいなかったからだ。
他人には僕の苦しみ「なんか」絶対にわからない。
奴はそうはっきり言いやがった。おれはビール缶を逆さにして、喉をぐびぐび鳴らしながら流し込んでいたけどな。
その瀬戸がおれのリクエストしたのは「ションベンちびるとこ見せてくれ」というモノだった。その時は、
は?
って感じで、モノ好きな奴もいるもんだなあ。ま、いっか。減るもんじゃなし、ってな感じで、
ええよ。
と答えたおれだったが、今は違う。瀬戸が何故、おれに、ノンケの男に、そういうことをリクエストしたかったのか、宮沢と一緒にいてはっきりわかった。
奴らは社会の風潮の中で、同じ男でありながら、自分らをノンケの男より「どこか劣っている」と思いこんじまってるんじゃないか。劣ってるところなど何ひとつないくせに、男でありながら女を愛せないだけで、女に性欲を感じないだけで、大多数の男より自分が劣っていると思いこんじまってるんじゃねえかと、おれは感じた。
いいよ、それでお前の気が晴れるなら、おれはションベンだってちびるし、ちんこだってしゃぶる。
何度も言うが、おれがそうするのは、お前の気を晴らすことができるのはおれしかいなくて、そのおれに高い価値を感じてくれるのがわかるからそうするだけだ。慈善事業じゃない。思いやりでも何でもない。
でも強いて言うなら、おれは瀬戸と友だちになりたいと思ったし、実際友だちになったし、宮沢とも友だちになりたいと思っている。おれの目の前で、ホモだのゲイだのという分類が何の意味もないことを思い知らせていやるためだ。
男のパパ活 宮沢に執拗に突っこむおれの内心
宮沢と出会い、宮沢ん宅で一晩明かし、翌日昼を過ぎてもおれは宮沢と一緒にいた。男のパパ活を初めて以来、初めての展開だ。でもそれはオレ自身が決め、選んだ行動だ。
嫌な思い出しかないこの家を売却する前に、ひとつでいいから良い思い出を作りたい。
男のパパ活を始め、初めて受けた種類のリクエストにオレはやる気満々だった。このリクエストにこそ100点満点で答えなくてどうすると思っていた。同時に、土地と建物を売却した金をそっくりそのまま戴いちゃおうとも思っていた。
おれは慈善事業家じゃない。山口先輩みたいに清廉潔白を売りにしているわけでもない。正直女とやりてえし、今持ってる札束ばらまいて好き放題女とやっちまってもいいかな的な気持ちはずっとある。マスク外して大っぴらに酒かっ食いてえし、道端で好きな女の子とキスもしたい。それがおれだ。
でも、何故か、困ってる奴を見ると無視できない。面倒くせえなあと思いつつも関わっちまう。
面白そうな匂いがすれば尚更だ。少々危なかろうがなんだろうが、虎穴にいらずんば虎児を得ず!でグイグイ行ってしまう。
これもおれだ。奥村だ。
そして「こんなことできねーだろ」とか「無理だよな」とか言われるのが死ぬほど嫌いだ。やる前から決めつけられると無茶苦茶腹が立つ。
だから、一番最初の瀬戸君が、奥村君はノンケだから男とエッチとかできないでしょ、と言われて、むかつき、他の男はどうだかしらねーが、おれは違う!と強く言い返した。それが男とのエッチだろうが、しゃぶるだろうが、人がやってできないことを「できない」と決めつけられるのが心底嫌いで許せない。
宮沢は、もしかしたら、心のどこかでおれのことを疑っているに違いない。どうせできねーだろうと思ってるに違いない。実はそんな気持ちもあった。何故なら宮沢は自分の性趣向を親に真っ向から否定され、病気扱いされ、そんな両親がある日突然事故で死んでも、「あばよ」くらいにしか思ってない、それくらい、人生を自力で這いつくばってでも、ここまで来ている野郎なのだ。
どうせこいつも口だけだろ。
宮沢がおれのことをそう思っていたって、無理からぬことだ。だったらおれはその予想が間違っていることを証明してやる。だからムキになって宮沢のプライバシーに突っ込んでいるのだ。
男のパパ活 宮沢との甘い朝
腹減ったな。そろそろ起きよか。
うん。久しぶり、こんな時間までベッドにいたの。
めっちゃいい部屋やん。光ようさん入ってくるし、窓の外、緑やし。静かやし。売るのもったいないんちゃう?
え?
あ、ごめん、余計なこと言うたな。
ちょっとお、奥村君エロすぎ。
何がよ。
マッパで窓の外ながめたりとか。
エロいか。初めて言われたわ。家ん中は裸でええやろ。大体裸やねん。
したも?
あかん?
いや、あかん、ってことはないけど、ええ?まじ?
慣れろや、おれと一緒におるってことはこういうことや。な?
うわ、めちゃくちゃ嬉しい、それ。
決まった?
決まった。
どうしようもなく、緩い会話をおれと宮沢はだらだら続けた。宮沢の方はどうだか知らないが、おれはこういうのも初めてだ。なかなか1階に降りていくタイミングが探せない。
デリバリーしよか、2階まで持って来てもらおうや。下降りるんがめんどい。
嘘お。コーヒー飲もうよ。
それな!ブラックで頼むわ。よし!
おれは宮沢をヒョイと持ち上げ、両手で抱えて階段を駆け下りた。めちゃくちゃ軽い。
コーヒーができるまで、おれはマッパで腕立て、腹筋、、汗が出るまで、、と思ってたら、すぐにコーヒーのいい香りが漂ってきた。めっちゃいい感じや。こういうの。
できたよー。
待って!もうちょっと!
ええっ!片手で?
おれは片手で腕立てを50やっていた。もう腕パンパン。朝からハード過ぎたかいや。ええとこ見せようと思ってもうた。
男のパパ活 宮沢との初夜の余韻
宮沢との初夜を無事、一通り終えたおれは安心したせいか、あっさり睡魔に負け落ちた。客の前で寝てしまうなんぞ初めてのことだった。目が覚めたのはいつもより1時間遅い8時だった。
うわ、やべ。寝ちまった。
右隣に宮沢は静かに寝息を立てていた。こいつ、本当に堀北に似てやがる。写真とっとこかな。
パシャ!
それでも宮沢は目を覚さなかった。よっぽど疲れたんだろう。オレを相手にしたんだからな。疲れて当然だ。オレも宮沢にガチで向かい合った。それにしてもきれいな肌をしている。オレは宮沢の頬にゴツゴツした指を伸ばした。
柔けー。
宮沢の頬は、ちょっとピンク色でとても柔らかかった。申し訳ないけど、やっぱ男には見えんわ。
オレは宮沢の首の下に右腕を這わせ、静かに自分の方へ引き寄せた。こういうことをするのもオレは初めてだった。女にもしたことないのに。
奥村君、、もう起きたの?
ごめん。起こしてもた。可愛かったからつい。
ふふ、ありがと。可愛いって、嬉しい。
ほんま可愛いし。
オレは生意気にも宮沢のほっぺにちゅうした。自分から。すると宮沢は「うわ!」っていうような顔をして堀北の顔がいっそう堀北になった。やべえ。
オレはガバッと、両腕に力をいれ宮沢を抱きしめた。何をしてるんだオレは。
オレの鼻が宮沢の金色の髪に触れる。栗毛が光に反射して金色に見えていた。めっちゃいい匂いだ。あ、あかん。
あかん、勃ってもーた。
元気だねー朝から。
お前は勃たへんの。
んー秘密。
そこ秘密にするとこか、どうや、見せてみ!
おれは容赦なく布団を剥いだ。
やだやだやだ。
体を丸めて背中を向ける宮沢。きっと堀北もこういうことをしやがるんだろう。きれいな肩甲骨をしている。
なあなあ、おれにも触らせてーや。
えー。生々すぎ。
いやか?
ううん、好き。
ほなええやろ、こっちむけや。
えー、
ええからこっちむき!
おれは宮沢の肩に手をかけ、今度は優しく体を持ち上げこっちを向かせた。こんなきれいな朝の光の中で乱暴な真似は流石のおれも無理だ。
うおー、たっとる!
やめてよーもう!
ええやんけ!男やし、普通勃つやろ。たっとらんかったらおれが萎えるわ。
なんでー。
そんなん不公平やん。おれこんなんなってるのに、宮沢はうんともすんともやったら、おれ、魅力ないんかなあってなるやん!
奥村君、かわいい!!
ほんまやめて。おれかわいいって柄ちゃうやろ。山口先輩にはヤクザ映画キャラってしょっちゅう言われてんで。
山口、、先輩?
あ、言うてなかったな。おれの先輩や。めっちゃ信頼してる。まあ男ん中の男やな。
ねえ、その人の写真ある?
あんで、みるか。
おれはスマホに手を伸ばし、山口先輩の画像を取り出した。
うわ、かっこいい。
せやろ。実物やばいで。
すんごい体。腕とか奥村君より太いって感じ?
そーやで。ゴリゴリ。ってかそこまで鍛えたら自分でできひんやろって。
男のパパ活 先輩が長谷川と?
ちょお、ほんまのこと言うてくださいね。こんなとこで見栄はってもしゃあないすよ。
アホか、なんで、お前に見栄はらなあかんねや。馬鹿にするんも大概にしろや。いうたるわ。隣の長谷川や。
長谷川?
ほれ、おれんちの隣に住んどった。
あー!!!いましたいました!長谷川?嘘でしょ。何でそういうことになるんすか。
話せば長い。
ちょお、あ、そう言えば、長谷川って東京の大学きとりましたね。そういうことすか?
まあな。
うわ!ありえへん!いまだに信じられへん。ちょお、証拠あります?なんか、写真とか動画とか。
あんで。見るか。
嘘や、ほんまにあるんや。
お前これ以上嘘嘘言うとったらほんましばき倒すぞ。
すんません。もう言わないす。
ほれ。見てみろや。
嘘や!!!!
そこには坊主頭の先輩とイケメン長谷川が裸で肩を組み唇を近づけてる写真が。と同時に顔面に軽い痛みが走った。
いた!いった!
嘘や言うたらしばき倒す言うたよな。
言うてないっすよ!!
言うたやろ。たった今言うたやろ。
言うてないっす!ひどいじゃないすか。おれを殴るなんて。既にパンチ食らわされてフラフラになってるおれ捕まえてトドメのパンチすか。
なんでお前がフラフラになっとんじゃ。言うてる意味が分からへんわ。
せやから、長谷川と先輩がそういう、、、
え、お前、まさか、
もういいっす。この話やめましょ。ややこい話にしたくないっすから。
ややこい話にしてんのはどっちやねん。おれはほんまの話してるだけやぞ。お前が勝手にいろいろ妄想しとるだけやろが。
話見えんようになってますけど、巻き戻しますね。先輩、おれに掘られたいんすか。
お前がそうしたい言うならおれはええで。
わかりました。そうさせていただきます。
さよか。ほな支度せなあかんな。
支度すか。
支度するやろ、普通。お前何も知らんのか、ようそれで男のパパ活とか言うてんな。
待ってください。なんや、おれの知らんこといろいろ知ってそうやないすか。教えてくださいよ。正直、おれほんまに経験ないんすわ。
それが?
いや、せやからその、いろいろ知りたいんすけど、誰も教えてくれんちゅうか、流石に後輩に聞くわけにもいかず、、、。
山口に聞いたらええやん。
いや、山口先輩はちょっと、、。
ちょっとなんやねん。
いやだから、そういう話は、、。
なんやねんそれ。失礼なやっちゃなあ。お前、ほんまおかしなってんな。金持ちんなると考え方までおかしなるんか。
めっちゃ厳しいすね。そんな言わんでも。わかりました。ほなこうしましょ。おれが掘ったら、次は先輩が掘る。そんならええっしょ、おあいこで。
ええわけないやろ。おれがおまえを掘る?ばかにすんのも大概にしろや、おれはお前の先輩やぞ。お前が仕事するんが当たり前やろが。
ちょお待ってください。その後輩がこうして頼んどるんやないすか。いろいろ教えてください言うて。他の誰にも頼めないんすよ。先輩しかいないんす。
なるほどま。お前も寂しい奴ちゃ。わかた。今回だけ多目に見たるわ。掘ったる。それでええやろ。
あざあーっす!!!