男のパパ活 中村パパからの強烈な勧誘
黒く長いリムジンの中は空調が程よく効き、体を包み込むようなソファが心地よかった。ケツが吸われていく感じだ。
おれの息子になって欲しい。つまり芯太の兄として、おれに面倒見させて欲しいんだ。
やはりその話でしたか。中村には説明したのですが、自分には今、月契約している人がいます。この人には他の後輩の件でずいぶん世話になりました。他から誘われたからと言ってポンと切るような真似はできないししたくないんです。
聞いている。だから直接話したかった。
というと。
その人の邪魔にならぬようにする。約束する。その人とはこれまで通りの契約を続けてくれて構わない。そこはおれが介入するところじゃない。そしておれは奥村君の体に指一本触れない。そういう条件でどうだ。
おれに指一本触れずに、息子になれというのは、すいません。よくわからないのですが、おれの何を買おうというおつもりですか。普通は体目当てというか、裸を見せて欲しいとか触らせて欲しいとか、そういうことを望まれるお客さんが多いので。今、おれを買ってくれている客は「ただ一緒にいるだけでいい」と言ってくれてますが、そういうことなんでしょうか。
うむ。それに近い。そういうふうに理解してくれていい。奥村君。君を見ていたいんだ。芯太と同じように。大学生の兄と弟がどんなふうに生き抜いているかを近くで見ていたい。そしてここからが本題だが。
ここからか。おれは心臓が、どきんとするのを感じた。多分おれが予想できないことを言われると即座に思った。