男のパパ活 破格のボーナス!
たかが1大学生のラグビー部員のおれに、戸山さんがポンと出してくれた金額は50万円。顧客の目の前で金額を確かめることをしないおれでも、封筒の重さでおよその額はわかった。
戸山さん。
おれはこういう時、何て言ったらいいか、台詞の準備をしていなかった。服ももう着てしまっている。得意の裸じゃない。おれはもしかしたら裸の時の方が舌がよく回るのかもしれない。油断した。
戸山さんは気を利かせて、
半分は西田君の当面の生活費だから。西田君によろしく。
わかりました!ありがとうございます!
おれは元気に叫び、頭を下げ、頭を下げたまま15秒くらい静止させた。すぐに頭を上げる気になれなかったからだ。そして客に気を利かせてもらうなんて、なんておれは甘ったれなんだ。そう思ったらびっくり。勝手に涙が滴り落ちてきやがった。何だこれは。
続いて戸山さんが声をあげた。
ど、どうしたの!
突然、壊れたおもちゃみたいにひっくひっく言い始めたおれに、戸山さんも動揺したのか何も声をかけてこなかった。
申し訳、ありま、、せん、、。客に気を利かせてもらっている自分に腹が立って。こんなとこで泣いてもうたらもっと迷惑やのに、、。
いや、大丈夫。そんな自分を責めないで。知らなかったよ、そんな思い詰めていたなんて。もっと気楽にやって。頼むから。
おれはひっくひっくしながら頭を2、3回縦に降った。
戸山さんは頭を下げたままのおれの背中に掌をおき、しばらく撫でてくれた。何をしてるんやおれは。
さあ、顔をあげて。
おれはまだ涙の止まらない顔をあげたくはなかった。でもいつまでもこうしている方が戸山さんに申し訳ないと判断し、不細工な顔をあげた。
おいおい、鼻水も出てるよ。笑
指摘され、慌てて手の甲で鼻水を拭おうとすると、戸山さんが手品みたいにぱっとハンカチを出し、おれの鼻をグシュグシュと拭いてくれた。まるで幼稚園児だ。
へへ。
我ながら、どうしてこのシーンでこんなことを言ってしまったのかわからなかった。それは偶然の産物だった。今度はおれがびっくりするくらい戸山さんが大声で叫んだ。
かわいい!もう我慢できない!!
戸山さんのくちびるが瞬間移動したみたいにおれのくちびるに密着した。おれはすぐに口を開き、腕は戸山さんの背中に、そう。女とやるみたいにキスをした。おれの腕はとても自然に戸山さんの背中から首、頭へと移動した。