男のパパ活 1回20万円のキス!
おれは戸山のオッサンを腕にあまり力を入れずに抱いた。そのほうがいいとその時考えた。オッサンとおれは背の高さはあまり変わらないから、おれの頬とオッサンの頬は自ずと触れた。
あの、キスしてもいいすか。
最低なおれはいちいち聞いてしまった。言い訳をすると、ころなの真っ最中に客にそんなことしていいのかと思ったからだ。
やめて、おこう。
静かにオッサンは言った。え。おれはびっくりした。拒否られたと思った。高校ん時、キスしていい?と聞いた女に叱られたことを思い出した。
申し訳ありません。聞いてしまいました。コロナの真っ最中だったんで、確認しないといけないと思ったんです。
いい。わかってる。今日はもうやめておこう。もちろん金は払うから安心して。
ちょっと待ってください。そんな機嫌損ねたんなら、ちゃんと謝ります。
おれは素っ裸のまま膝を折り、即座に土下座になった。
ちょちょっ!!奥村君、違うんだ。そうじゃない。むしろ感動してたんだ。
え?
奥村君、完璧だったんだ。もう十分だったんだよ。
どういうこと、、っすか。
キスしていいかと聞かれた時、奥村君はそうするつもりで聞いたんだよね。自分からするつもりだったから聞いたんだよね。
そうです。するつもりでした。でも、コロナの最中にキスは不味いだろと思って、確認しただけなんです。
それでいいんだ。十分なんだよ。
わかんないです。
それは奥村君がノンケだからわからないだけさ。大丈夫、気を悪くなんかしてない。むしろ感動したし嬉しかった。だからそんなことしないで。
わかりました!じゃあこうしましょう!!
おれは立ち上がり、オッサンの背中に回ってそのままベッドに押し倒した。顔と顔が向き合わないように、おれの鼻先がオッサンの後頭部に当たる感じで後ろから抱いた。
これならいいすか。
オッサンはおれの腕にそっと手を置き、おれはオッサンのうなじにキスをした。
その日の報酬は過去最高額だった。実のところおれも手応え十分だった。オッサンは20万円財布に入れてくれた。最初だから額は抑えたと言い、おれさえ良ければ月契約したいとも言ってくれた。但し、他の客を全部切ってくれるならという条件付きだった。